梅味噌を作る
梅味噌なんて聞いたことも無い。食べた記憶も無い。例の梅醤油だって話には聞いているが味わったことは無い。
梅を買った序でに、梅味噌も作ってしまおうか?なんて考えたりして。実際のところ、梅味噌の評判は如何だろう。梅醤油はNHKラジオでもときどきレシピ紹介が話題になるので隠れたファンが多いのだろうと予想できる。
梅味噌
梅味噌がどんなものか想像がつかない。レシピをみた方が理解は早そうだ。こういうローカル食品?は流儀もいろいろありそうだ。いくつかを参考に我流を導き出せれば十分だろう。
味噌は無添加のものを使う。共通事項?
(参考1)
- 普通の米味噌を使う。味噌の量は梅と同量。1KG。
- 味噌と同量または半分の砂糖(黒砂糖)を用意する。1KG~0.5KG。
- 梅は完熟梅を使う。1KG。
- 先ず米味噌と黒砂糖を適当な容器に入れてしっかり混ぜ合わせておく。
- 完熟梅の皮をむいて味噌と砂糖の入った容器に入れていく。梅が頭を出さないようにしっかり沈める。
- 容器の蓋をして日陰に保存。
- 数日で梅の水分(エキス)が外に出て緩くなります。
- 梅の種を手で外し取ります。完熟梅ですから種は簡単に取れます、多分。
- 容器から鍋に移して煮詰めます。鍋はステンレスかホーローか耐熱ガラスを使います。梅から出た酸が強いので腐食しない材質のものを使います。
- 弱火で煮詰めて、元の味噌の硬さに近くなったら火を止めます。
- 消毒した保存容器に移して保管します。保管場所は常温でも多分問題ないでしょうが、カビのリスクに備えて冷蔵庫に入れます。
- キュウリなど生野菜を食べる時に重宝する。他の用途は?
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(参考2)
- こちらは青梅を使う。1KG。
- 青梅ですから灰汁抜きの工程が入ります。2~4時間。
- なり口の星を取る。ヘタをとるのと同じことかな。ヘタの厳密な定義を知らないことに気づく。
- 味噌(1KG)、砂糖(0.5~1KG)、梅を交互にボトル(よく消毒したもの)に入れていく。
- 冷暗所に1週間ほど置いて、途中ときどき引返すなどして混ぜながら、とろっとした半液状になったら出来上がり。
- 液状のものはたれなどとして使い、実も食べることが出来るそうだ。
- この参考例は簡単だな。途中でやめてしまったような。
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(参考3)
- 参考2と殆ど同じ。使った梅はカスだから捨てるとしている。
- 常温保存。
(参考4)
- 参考1にほぼ同じだが、青梅を少し黄色くなるまで熟成させてから使う。
- 梅、味噌、砂糖は全部同量。
- 一緒に煮て、実が崩れて種が簡単に取れるようになったら、火を止める。完熟で無いから煮た後で種を外す手順になる。
- 出来上がり。
(参考5)
- 少しユニーク。①ニンニクを摩り下ろして使う。②青梅を摩り下ろして使う。最初に種を除去する逆転の発想の手順だね。③ほんだしを使う。
- 摩り下ろした梅とニンニクと味噌と砂糖と本だしを鍋で煮る。
- このレシピは味噌とニンニクとあわせて焼肉に使えるので面白いが、青梅の摩り下ろしは手間が掛かりすぎて面倒。少量なら問題ないか。
(参考6)
- これも面白いやり方だ。先ず、完熟梅の利用を否定している。もともと酸味不足で煮たら風味も消えてしまうと手厳しい。
- 材料の割合は梅・味噌・砂糖とも同量。
- 材料全部を土鍋に入れてよく混ぜ合わす。混ぜ合わせ手順的には梅は最後に入れる。
- いきなり弱火で煮る。沸騰させても焦がしても駄目。木べらでよく混ぜながらひたすら弱火で煮る。
- 木べらで結果的には梅を小突くのだろうが、やがて梅の種が見えてくるまで煮る。
- しかし、煮詰めないこと。煮詰めて失敗したんだろうね。煮詰めるなとある。温度が下がれば適度な硬さになるから、しょうしょう緩くて良いうと言うことだ。
- ジップロックなどで密封保存。1年で消費すること。
- こんにゃくおでん、田楽、味噌ドレッシングのベースなどに利用。
(参考・・・)
他にもたっぷり力作ぞろいですが多すぎてキリがありません。いろいろ見て総括しましょう。
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<総括>
梅:
- 青梅が主流。酸味を求める人は青梅。
- 完熟梅は少数派。甘い味噌を好む人というより酸っぱい味が苦手な人は完熟梅を使う。ところが、味噌という強烈な素材と出会えば完熟梅の柔らかい風味ではバランスしない。味噌の選定が重要になるだろう。
- 果肉の利用については、完熟梅は当然。青梅でも煮る工程を入れる場合は、味噌に溶かし込んで利用する。煮込まないで浸透圧でエキス抽出だけ行う場合は味噌から分離。取り出した梅は食用する人もいれば廃棄する人もいる。それほど美味でない変わった味なんだろう。醤油梅と似ているかな。果肉を雑味と理解する場合は浸透圧によるエキス抽出を選ぶしかない。
- 種の取り出しについては、浸透圧方式の場合は工程の最後で実も取り出す。煮る工程を入れる場合は、果肉が味噌に溶けて、種を取り出すのだが、果肉利用のコンセプトに沿えば、十分煮た後で取り出すのが理に適う。
味噌:
- 青梅の場合は好みの味噌で良い。
- 完熟梅の場合は味に癖の無い、無添加のものを使うべきだろう。
- 常温熟成のレシピを使うときは抑止剤の入っていない味噌を選ぶこと。市販の味噌には普通発酵を抑止する成分が入っている。いきなり梅を煮るレシピでは気にすることは無い。
砂糖:
- これも何でも良さそうだ。煮詰める工程を採用する場合は、癖の無いもの。
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<考察>
(漬けるか?煮るか?)
どのレシピを採用するかで重大な選択の一つ。
浸透圧で出たエキスを味噌に混ぜるだけで終わらせるなら、梅シロップ(梅エキス+砂糖)と味噌を練り合わせるのと同じことになるので、詰まらないかも。梅シロップを用意しておけば済む。わざわざ梅味噌を作る意味が無い。とは言え浸透圧方式はすっきりした味が期待できるだろう。
煮ることでは何が得られるか?
果肉を味噌に溶かし込むことが出来る。これこそが梅味噌。味噌の梅シロップ和えとは違うのだ。
(浸透圧プロセスは必要か?)
では煮る前提で、浸透圧のプロセスは必要か?。水分を出してスムーズに煮るために必要だろう。いきなり煮始めたらやはり味噌や砂糖を焦がすリスクがある。梅味噌の浸透圧プロセスではエキスの抽出という観点でなく煮詰め作業に必要な水分を補給すると言うことになる。完全にエキスを取り出す必要は無い。梅干しなら3日で梅酢が上がるから、味噌と砂糖で攻められたら、3日~1週間も見れば十分でしょう。
(完熟梅か?青梅か?)
出来上がるものが違うので、何を求めるかになる。といえば実も蓋も無いですね。酸っぱいのは青梅、酸っぱくないあるいは発酵熟成の味を楽しむなら完熟梅。とは言っても完熟梅だってしっかり酸っぱいですよ。味噌とあわせて煮てしまえば風味などは頼りないものです。むしろ、両者の違いは果肉の食感が青梅なら少しは残る。完熟梅は全く残らない。こちらの違いの方が大きい。
この味噌は基本的には練り味噌ですから、梅の果肉の食感は必要ないでしょう。ですから完熟梅を使うのが基本。青梅の場合は暫く紙の袋に入れて黄色くなるまで熟成させてから利用するのが適切な利用方法ということになるでしょう。
青梅のまま使った場合は最終段階でうらごし工程などを入れれば良いだろう。
《結論》
- 完熟梅1KG。青梅の場合は黄色くなるまで熟成させる。熟成作業はカビの危険があり難しいのでほどほどで手を打つことです。熟成中は毎日2回焼酎を噴霧すること。
- 味噌1KG。好みでよい。癖の少ない添加物の少ないものなら無難。
- 砂糖500G。好みでよい。癖の少ない添加物の少ないものなら無難。
- 容器に味噌を入れ、次に混ぜながら砂糖を加えていく。
- 梅は洗い灰汁抜きしヘタを取りよく乾かしてから、容器に入れる。味噌の中に梅が沈むようにする。
- ホワイトリカーを噴霧してから容器の蓋を閉め、冷暗所または冷蔵庫に保管する。浸透圧による水分の放出は常温のほうが早い。
- 容器の向きを1日1回程度変えるなどして水分の出を促す。
- 3日~1週間経過したら鍋に移して煮る。弱火で常に混ぜながら注意深く。果肉は意識して木べらなどで潰す。
- 種が分離したら取り出す。
- 更に煮詰めるが、煮すぎるとアウト。少し焦げれば全滅に相当。温度が下がると硬くなるので加減を見るときはスプーンですくって十分温度を下げて確認すること。
- 消毒した保存容器に移す。
《問題・課題》
一番の問題は利用方法・使い道。梅醤油のように簡単に使えると気合を入れて作る気になりますが、日頃から味噌を利用する習慣がないと難しいところがあります。梅味噌のキラー利用法(究極レシピ)が欲しいところです。
- 味噌ドレッシングのベース。
- 野菜スティック用。
- 焼肉のタレに合わせる
- 焼き魚の味付け
- ネギ味噌
- 湯豆腐のタレ
- 焼き蕎麦の隠し味
- 味噌ラーメンの隠し味
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